アメリカの作家、ハーマン・ウォークによる小説。
太平洋戦争中、オンボロ掃海駆逐艦「ケイン号」の乗組員が、
とんでもない艦長に翻弄される話を軸に、
一人の若者が人間的に成長していく物語。
この艦長、偏執狂の気があり、パワハラは働く、自分のミスは部下のせいにする、わりと臆病、といった人間で、
リーダーとしての資質が疑われる。そんな中、嵐に遭遇するが・・・。

この小説を読んでいる最中に、H県の知事の言動を、第三者委員会なるものがパワハラと認定したとのニュースがあった。
そういえば、某N県でも昨年、会社でいえば重役クラスの公務員がパワハラで処分された。
パワーハラスメント(パワハラ)は、近年社会の理解が進み、
法も整備されてきた。
ただ、はっきり言って、パワハラを直すのは難しい。
幾多のパワハラにさいなまれた私の率直な感想。
アンガーマネージメントの講習会なども行われているが、
そもそも人の性格はそんなに簡単には修正できない。
第一、自身の言動が他人を傷つけているなんてことに気づいていない節がある。

こんなことがあった。
モーレツパワハラのAさんが、別のパワハラ人間Bの評判を聞きつけてきて、
「おい、Bは(パワハラが)ものすごいっていうじゃねえか。」と言うのだ。
Aさんだってそうですよ。ってどれほど言いたかったことか。

ちくしょー、今度はオレが怒鳴り散らす番だと思っていたら、
もうそれができない時代となっている。

小説を読んでいる最中、さらに驚くべきニュースが入ってきた。
なんと、同じN県の重役クラス公務員が、長年盗撮をしていたというのだ。
仕事ができる人間は、十数年にわたって卑劣な行為を隠しおおせるのかと、
苦笑いしてしまった。
運の尽きだったのは、退職金が目の前にぶら下がった時期に発覚したことだ。
彼の家のパソコンには、N県の女性公務員の股間写真がコレクションされていることだろう。
彼を優秀な職員として評価した人も、
彼を重要な役職に起用した人も、
そしてなにより、彼の部下となり、彼の命令を受けた人も、
だまされたと思ったのではないだろうか。お気の毒様です。
さほどに、人の本性を見抜くということは難しい。

そもそも、上司だからといって人格者を期待してはいけない。
日本のような年功序列の社会では、そこそこ仕事ができれば、みな上司になっていく。
組織を束ねる能力というものは、部下であったときの仕事の能力とは別の次元であり、
実際にそのポストにつけてみなければわからない。
人格者だからといって上のポストにつけてもらえる訳ではないし、
とんでもない上司というものもしばしば出現する。

ケイン号の艦長は、軍法会議で証人として登場し、
証言をする中で自らの正体をさらけだしてしまう。
とんでもない上司を持ってしまうことは大変なことであるが、
それ以上に、自分がそれなりの上司になっていくことの方が、
鍛錬がいることである気がする。

< 2025年04>
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