知床旅情

今、日本経済新聞で、俳優の山崎努さんの体験記が連載されている。
2作目の映画「地の涯に生きるもの」で、森繁久彌さんと共演した。
舞台は北海道知床。
知床旅情

山崎さんの回想によると、
主役の森繁さんは、監督から映画の中で何か歌ってほしいと頼まれて、
昼食の休憩時間に、サラサラと、名曲「知床旅情」を書きあげてしまったようなのだ。
メロディも即興だ。
あぁ、なんと
ちったあ呻吟艱苦してくれていたのなら、
私のような才能のない人間も、少しは報われたかもしれない。
知床旅情

いろいろ検索して知ったのだが、
歌詞の3番の最後、つまり歌のラストの部分、
「白いカモメよ」の「よ」は、もともとは「を」だったというのだ。
  忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん
  私を泣かすな 白いカモメ「を」
たった1字の違いだが、歌詞の意味合いはだいぶ異なる。
カラスやカモメへの呼びかけであるものが、
「を」にした場合、
  君(出て行く人) = カラス
  私(残る人)   = カモメ
という構図になる。
手直しは、歌をヒットさせた加藤登紀子さんによるものらしい。
呼びかけであっても、旅の風情は損なわれないし、
旅の思い出の歌として印象に残る。
でも、森繁さんは「を」にこだわったらしい。

映画では、出征する息子(山崎さん)の祝いの宴のシーンで、
漁師の父(森繁さん)が歌うという設定であった。
でも、歌詞の内容は、それにはそぐわない。
創作の背景を知れば、歌の中身は、
映画関係者と地元の人々との、交歓と別れだということに想像がおよぶ。
3番は主客が入れ替わってしまってわかりづらいのだが、
森繁さんは自身を気まぐれカラスになぞらえて、
撮影に協力してくれた地元の人たちに、
感謝の気持ちを伝えたかったのではなかったか。
知床旅情

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