岩波ジュニア新書のロングセラー
茨木のり子の「詩のこころを読む」で最初に紹介されているのは、
谷川俊太郎さんの「かなしみ」という詩だ。

  あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
  何かとんでもないおとし物を
  僕はしてきてしまつたらしい

  透明な過去の駅で
  遺失物係の前に立つたら
  僕は余計に悲しくなつてしまつた

第一連を読んだだけでも、
胸の奥をギュッとつかまれたような心持ちになってしまう。

実は、先般亡くなられた谷川さんの作品にそれほど親しんできたわけではなかった。
でも僕らの世代は、谷川さん作詞の「鉄腕アトム」の歌で馴染みがある。

  空をこえて ラララ 星のかなた
  ゆくぞアトム ジェットのかぎり
  ・・・

この歌詞、よくよく吟味すると少し変だ。
山や海なら越えられるが、空を越えるとはどういうことか。
「星のかなた」ではなく「宇宙のかなた」ではないのか。
しかし、そこが谷川さんのマジック。
僕らは何の違和感もなくこの歌を口ずさみ、
そして、アトムのように大空を飛びまわる気分になっていた。
そう、僕らは幼少の頃から、
谷川さんが紡ぎ出す言葉の魔術に取り込まれていたのだった。

< 2024年12>
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