鉄腕アトムの歌
2024/12/03
岩波ジュニア新書のロングセラー
茨木のり子の「詩のこころを読む」で最初に紹介されているのは、
谷川俊太郎さんの「かなしみ」という詩だ。
あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまつたらしい
透明な過去の駅で
遺失物係の前に立つたら
僕は余計に悲しくなつてしまつた
第一連を読んだだけでも、
胸の奥をギュッとつかまれたような心持ちになってしまう。
実は、先般亡くなられた谷川さんの作品にそれほど親しんできたわけではなかった。
でも僕らの世代は、谷川さん作詞の「鉄腕アトム」の歌で馴染みがある。
空をこえて ラララ 星のかなた
ゆくぞアトム ジェットのかぎり
・・・
この歌詞、よくよく吟味すると少し変だ。
山や海なら越えられるが、空を越えるとはどういうことか。
「星のかなた」ではなく「宇宙のかなた」ではないのか。
しかし、そこが谷川さんのマジック。
僕らは何の違和感もなくこの歌を口ずさみ、
そして、アトムのように大空を飛びまわる気分になっていた。
そう、僕らは幼少の頃から、
谷川さんが紡ぎ出す言葉の魔術に取り込まれていたのだった。
この記事へのコメント
茨木のり子の「詩のこころを読む」、ロングセラー
なんだ。今度読んでみます。昔はいろんな詩人の
詩集を読み集めたものだが、実家に置きっぱなしだ。
たしか、谷川さんのもあったような気がする。
Posted by へこりと
at 2024年12月04日 10:37
「詩のこころを読む」の初版は、1979年。
ジュニア新書の番号も9。
読み継がれている本のようです。
Posted by 上穂悠生
at 2024年12月04日 16:53