米子の滝

社会人としての駆け出しの頃、
米子の鉱害防止工事にかかわった。

須坂の山奥、
日本の滝100選になっている米子の滝の真向かいに、
かつて硫黄鉱山があった。
小学校もあって、最盛期には1,500人もいたらしい。
廃鉱となって、
硫黄を精錬したカス、「ずり」と言うようだが、
そのずりが野ざらしとなっていた。
雨水が浸透し、にじみ出てきた酸性水が、
川の水を酸性にしてしまっている、
それを防ごうというのだ。
ずりの上に土をおっかぶせて、雨水を浸透させず、
そのまま流下させてしまうというカラクリであった。
そんなんで大丈夫なんかい、当時はそう思った。
それはともかく、工事にかかわったことで現場に行く機会が多かったものだから、
米子の滝、つまり権現滝と不動滝の2本の滝が、
脳内に確実に刷り込まれた。

そういうこともあってか、
なかなか須坂の山奥まで足をのばそうという気にならなかったのだが、
先日、ほぼ30年ぶりに米子の滝を訪問してみた。

米子の滝

整形された跡地は、今もそのままであった。
そこが絶好の滝の展望台となっている。
北西に開かれていて、妙高戸隠連山国立公園の山々が一望でもある。

米子の滝

かつての「滝山館」という旅館は、
「根子岳山荘」と姿を変えていた。
そこで、おいしいコーヒーとケーキをいただいた。

米子の滝

滝の近くに慰霊碑があったと記憶していたのだが、
うっかり見落としてしまった。

  根子岳で山スキーをしていたら日が暮れてしまった。
  鉱山の灯火を菅平の明かりと間違え、
  滝の上に出てしまい、そのまま・・・。

そんなことであった気がする。

今は、硫黄採掘の喧噪も、
そんな悲しい出来事も忘れ去って、
秋の空気の中、滝の轟音を響かせていた。

米子の滝


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